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レントゲンで、歯根の周りに膿がある原因は?パート1(歯内歯周病変について)

サイナストラクト(膿)・腫れ  / 院長ブログ

みなさん、こんにちは。

今回のブログは、レントゲンで歯の周りにある黒い影の原因を特定することが難しい病気についてお話しします。

歯の保存を考えると、時間がかかっても、なぜ骨がなくなっているか、時間がかかっても、原因を追求してもいいかもしれません。

一般的には、診断してから、治療方針を患者さんに提案し、決定します。
しかし、ごくまれに、治療をしてから診断できる病気があります。

 

術前には診断ができない病気のことを歯内歯周病変といいます。

歯の周りにある黒い影の原因は、歯の中(根管)が原因か、歯周病が原因か、はたまた両方か。
歯の中(根管)と歯周病の両方が原因でも、最初に歯の中(根管)が感染して歯周病を起こしたのか、まずは歯周病を起こした後、歯の中(根管)にも感染が広がっていったのか。

原因はなんであれ、歯内歯周病変の場合、治療の順序は、まず歯の中の感染を除去するために、根管治療を行い、3ヶ月程度経過観察をした後、歯周病の治療を行います。

まず、実際の症例からみてみましょう。

68歳男性の患者様でした。
主訴は、痛みはないけれども右下の歯肉が腫れている、とのことでした。

図1-1

 

 

 

 

 

腫れている歯は、図1-1左上下口腔内写真黒い矢印で指しています。

図1右側のレントゲンの白い矢印が腫れている歯で、歯を囲っている黒い影の原因の特定をするために、諸検査を行いました。

歯髄は壊死しており、根尖と歯周組織の診査を行ったところ、頬側中央の歯周ポケットが限局的に11mmと深く、歯はグラグラ揺れている状態です。

以上より、考えられる歯肉が腫れている原因を以下に記します。

 

1. 歯髄が壊死しているので、歯周組織に感染が広がって、歯肉が腫れ歯周病を起こしている可能性

2. 歯周ポケットが11mmと深く歯がグラグラ揺れているために歯周病が原因で歯髄が壊死し、歯肉が腫れている可能性

3. 歯周ポケットが限局的に深いため、歯根破折の可能性

患者さんにお話しした内容は、以下の通りです。

1. 歯内療法(根管治療)を行なった後、3ヶ月経過観察後、歯肉の腫れが治れば、原因は歯の内部であり、歯肉の腫れが治らなければ歯周病の治療を行う必要があること。

2. 歯内療法も歯周病の治療をした後、歯肉の腫れが治れば、原因は歯周病か歯の内部(根管)か、歯周病と歯の内部(根管)両方か。

3. 歯内療法も歯周病の治療をしたにもかかわらず、歯肉の腫れが治らなければ抜歯する必要が出てくるかもしれないこと。

歯内歯周病変は、治療をすれば治るかもしれないし、治療をしても治らないかもしれません。
ただし、何もしなければ、原因の特定はできず、歯肉の腫れも治らないかもしれないし、本当の意味での手遅れになることもあります。
原因を除去できれば、歯肉の腫れは治ります。

しかし、歯内療法と歯周病の治療を両方行ったにもかかわらず、歯肉の腫れを改善できないことがあり、最悪な場合抜歯になります。

図1の患者様は、今できることをやってダメなら抜歯になるのはしょうがない、と決断され、根管治療を行いました。
術前は、腫れていた歯肉が、根管治療後に改善しています。

 

 

 

 

 

 

また、歯周ポケットも11mmあったところが術後3ヶ月経過したところ3mmと改善し、歯もまったくグラグラしなくなりました。

この症例の歯肉が腫れていた原因は、歯髄が壊死していたため(歯の内部(根管))でした。

レントゲンで歯の周りが真っ黒で、ポケットが限局的に深い場合、疑われる病気は、歯内歯周病変の他に、前回のブログでもお話ししたように、歯根破折や穿孔(歯や根に穴があいているところ)の可能性も考える必要があります。

 

つづきは、次回のブログでお話しします。
おたのしみに。